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眼瞼下垂(がんけんかすい)の治療 surgery

術式の選択までの道のりProcedure sellection

具体的な術式の決定


診察を行い、諸状況を勘案して以下の基本的なことを決めます。

✔1.まぶたの切開方法(長さ&部位)

✔2.どの筋肉(眼瞼挙筋/ミュラー筋/前頭筋)でまぶたをつり上げるか

✔3.両側眼瞼下垂の場合、両側同時の手術?/片側ずつの手術? 片側ずつ行うならばどちらを先に行うか

✔4.付加手術(まぶたの厚みの調整、二重まぶた形成など)

 

術式の決定において考慮すべき4つの情報 


■情報1. まぶた・周囲の状態
まぶたの開きの異常である眼瞼下垂症の治療を成功させるためには、まぶたの状態だけを見て術式を決定しません。

視機能や眼球の健康状態に加えまぶたの周囲の状況を考慮しなければなりません。
なぜかと言いますと、まぶたが開く理由はものを見るためであり、閉じる理由は眼球を守るためですので、視機能や眼球の健康状態でまぶたの開閉は大きな影響を受けるからです。 また、まぶたの周囲の筋肉の動きや皮膚のタルミも、眼瞼下垂の治療の成否に大きく影響します。
  

1)先天性眼瞼下垂なのか後天性なのか
2)眼瞼挙筋の筋力
3)症状(まぶたの症状、まぶた以外の随伴症状 眼痛・頭痛・首痛・まぶしさ・めまい・不眠 など)
4)皮膚の垂れ下がり具合
5)まぶた周囲の状態(眉毛の高さ、ひたいのシワ、目尻の緩みなど)
6)眼瞼痙攣を伴ってないか?
7)ドライアイ・角膜の状態
8)視力
9)効き目と眼の開閉の神経的調節
10)重症筋無力症やホルネル症候群などの神経・筋疾患
11)眼窩腫瘍はないか
12)白内障などの眼の手術の既往・予定


これらの項目の全てが眼瞼下垂の治療と関わってきます。
一つ一つの項目どれをとっても、医学書何ページも必要な内容です。

治療の結果が思わしくない場合には、これらの項目のいずれかが直接的または間接的に関わっていることは多いです。

私は患者さんの眼・周囲の状態や心理状態をなるべく逃さずに把握するためにオリジナルの問診票を作っていますが、診療上とても効果的と思います。


■情報2.全身状態
眼以外の全身状態によっても術式が変わります。

1)年齢
2)全身状態
3)抗凝固薬(血をさらさらにする薬などの内服薬)
4)糖尿病などの基礎疾患
5)精神状態


情報3.社会的状況
社会的状況により、用いることのできる術式が制限されます。

1)どれくらいの日数仕事を休めるか
2)術後の腫れやダウンタイムを受け入れることができる状況か(職業的、性格的)
3)予定されている行事など


■情報4.手術の目的・希望

眼瞼下垂症は保険適応ですが、その手術の目的は視野の確保や開瞼困難による緒症状の軽減などの機能的なものです。

好みの二重まぶたなど美容的な仕上がりが希望の患者さんは、二重まぶたの手術やまぶたの腫れぼったさを調整したりする手術を追加することも検討して下さい(健康保険適応外にはなります)。ただし、余分の手術操作が倍以上に増えますので手術時間や術後の腫れは増えます。

二重まぶたなどの手術は、眼瞼下垂の術後に必要があれば追加して実施することはできます(健康保険適応外)。

術式の決定の絶対の基準とは



以上の様に、術式はいくつもの情報から判断して決定しますが、術式の選択の絶対の基準のようなものは現時点ではありません。

担当医と良く相談して最終的に術式を決定することになりますが、その選択は実際にはその担当医の術式の好みや習熟度等にも大きく影響されます。

私自身も10年前と現在では手術の選択の基準は変化しており、同じ様な症状の眼瞼下垂の患者さんであってもどの術式をどのように用いるかはかなり異なります。

術式の決定が難しいケースでは



眼瞼下垂の手術を行うと必ず人生がバラ色になるということはありません。

私は全ての眼瞼下垂の患者さんに対して手術をお勧めするのではありません。いろいろな要件を天秤にかけて、患者さんにメリットがあるだろうと判断する場合にのみ手術をお勧めします。

様々な情報から適切な術式の判断を行うのみならず、患者さんが眼瞼下垂の手術を受けて良かったと感じるか否か(満足するか否か)を推測して、最終的に手術を行うかどうかを判断します。

したがって、たとえ眼瞼下垂であっても、自分が手術を行った場合に効果の期待することができないと判断した場合は手術は行いません。術式の判断が難しい場合などにはすぐに結論を出さずに、時間をおいて再度診察を行うと病状に関して理解が深まり判断に至ることが多いです。

※私は現在では、95%以上の患者さんに部分切開法眼瞼挙筋腱膜前転術をお勧めしています。

その理由は、「なるべく傷跡が少なく」「なるべく確実に」「なるべく痛みが少なく」「なるべく短い手術時間で」「なるべく怖くなく」眼瞼下垂を治療することが出来る、満足度が高い術式だと考えるからです。

さらに両眼同時に手術するよりも、片眼ずつ行うことを推奨しています。その理由は、経験的に手術に対する総合的な満足度が高くなる傾向が高いためです。
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